あなたは中村天風の『いつまでも若々しく生きる』という本を知っていますか?
この記事では、中村天風の人物像と『いつまでも若々しく生きる』の要約を5つのポイントで紹介します。
中村天風が到達した健康法(心身統一法)を、心と体の両面から具体的に学べます。
ぜひ実践して心身ともに健康な毎日を送りましょう。
それでは健康に生きるための教えが詰まった本、『いつまでも若々しく生きる』を紹介したいと思います。
中村天風とはどんな人物なの?
中村天風って変わった名前で怪しい感じがするけど、いったいどんな人物なの?
確かに中村天風という名前だけが一人歩きしてしまっているからかもね。
でも、まったくそんなことはないから安心して。
本屋さんで見かけたことはあるけど、哲学や自己啓発について書かれていそうで難しいイメージがあるの。
怪しさや難しい印象を持っている人は多いと思うけど本を読むと、すぐに誤解は解けると思うよ。
じゃあ早速、中村天風がどんな人物か見ていこう。
中村天風は明治9年、1876年東京都に生まれます。
本名は中村三郎。
子どもの頃からとにかくやんちゃで手がつけられず、波瀾万丈の人生を送ることになるのですが詳しく見ていくと、いくつも記事が必要になるので主要な出来事をまとめてみました。
- 裕福な家庭に生まれ、当時周りにいた英国人夫妻にかわいがられ、英語を身につける。
- 東京本郷の小学校を卒業後、九州福岡の修悠館に入学するが退学。
- 頭山満の玄洋社(政治団体)に預けられる。気性が激しく「玄洋社の豹」と呼ばれる。
- 1902年参謀本部諜報部員として、特殊訓練をうけ満州に潜入。
- 1904年日露戦争勃発、軍事探偵として活躍する。
- 日本に帰還後、大日日本製粉の重役として経営に参加するも、奔馬性肺結核を発病し死に直面する。
- 1909年病を治すため、アメリカに渡りコロビア大学にて医学を学ぶ。世界中の著名人に会い救いの道を模索するも求める答えは得られない。
- 1911年日本に帰ることを決意する。帰郷の途中、カイロで偶然ヨガの大聖者カリアッパ師に巡りあう。
- 天風が病をもっていることを見抜き、「このまま帰ると日本で死ぬことになる」と言われ師についてヒマラヤの山中に向かう。
- 二年数カ月の修行で病を克服し、悟りを開く。
- 1913年帰国後、東京実業貯蔵銀行頭取などいくつかの会社を経営し実業界で活躍する。
- 1919年突如感じるところがあり、全ての地位や財産を放棄し救世済民のため「統一哲医学会」を創設し上野公園などで辻説法を行う。
- その教えに影響を受けた人たちは数多い。原敬、松下幸之助、稲盛和夫、ロックフェラー三世、大谷翔平など皇族方をはじめ、政治家、実業家、学者、スポーツ選手、俳優、小説家から市井の人たちまで幅広い。
- 1968年92歳でその生涯を終える。
濃い人生すぎる………。
上記をさらにざっくり言うと、中村天風とは明治時代に東京で生まれ、やんちゃな幼少期を過ごします。
戦争中はスパイとして活躍しますが病に倒れ、アメリカで医学を学んだ後世界中を放浪。
ヨガの大聖者カリアッパ師に出会い、インドの山奥でヨガの修行を通し病を克服して悟りを開きます。
その後、実業界でも活躍したけれど思うところがあって、公園などで自分が到達した教えを説く日々。
その教えが沢山の人たちに感銘をあたえ、以後その生涯を終えるまで講演を続けた。
まさに波瀾万丈な人生ね。
どんなことを悟ったのかしら、その教えをはやく知りたいわ。
それではいよいよ次に、中村天風が到達した健康に生きる真理が書かれている『いつまでも若々しく生きる』を紹介します。
『いつまでも若々しく生きる』5つのポイント
中村天風は自分の考えを著作にすることを好みませんでした。
何よりも講習会で話を聞くことが、大事な全体が伝わると生前言っていたそうです。
『いつまでも若々しく生きる』は中村天風の講演録音テープを文章に起こしたもの。
会場で熱く話している中村天風の姿と、話を聞いている人たちの光景が目に浮かんでくるような臨場感があります。
中村天風の書籍はいくつかありますが、ほとんどが心や精神について説かれたものです。
しかし『いつまでも若々しく生きる』は健康に生きるための方法が、精神についてはもちろん身体についても詳しく説かれています。
ここでは本書の要約を5つのポイントにまとめてみました。
では一つずつ見ていきましょう。
生活法則を守る
中村天風は人間として生きるためには、重要な二つの生活法則を守ることが必要と言います。
・いかなる場合も自然法則を無視して、生存することはできない
『いつまでも若々しく生きる』8ページより引用
まず、人間も犬や猫、魚、虫、道端に咲いている草花と同じで大自然がつくった自然物の一つでしかないと厳粛に受け止めること。
これは至極当たり前のことですが、その当たり前のことを人間は見失っているのではないでしょうか?
自分勝手に欲望のおもむくままに生きるのではなく、自然法則を尊重し順応することがまず必要だと説きます。
・生命を強くするためには、秩序を重んじながら訓練的に生活を積極化すること
『いつまでも若々しく生きる』8ページより引用
次に、人間の生命の中には適応作用という作用があります。
この作用は簡単に言うと、外から受ける暑さや寒さといったさ色々な刺激にたいして、その刺激を受けた場所が鍛えられる作用のことで、人間や動物、草や木にもあります。
同じ刺激が同じ場所に長く加えられていると、その部分が鍛えられ実質や性状が変化するのです。
例えば、冬でも薄着の習慣をつけている人は、寒い日でも厚着をすせずに寒さに耐えることができます。
そして普通の人でも顔の皮膚や手の皮は他の部分にくらべて強いはずです。
これも適用作用でこの仕組みを応用すると、お風呂上りに冷たい水を浴びるなど、普段から意識をして訓練することで体は丈夫になるのです。
しかし現代の便利さに慣れてしまうと、無駄に厚着をしたり、生活が緩みがちになります。
その結果、健康力が衰え、本来備わっている体の機能が弱くなってしまいます。
だからこそ健康に生きようと思ったら、常に外界の刺激に適応できるように、体を積極的に鍛える習慣をつけることが大切です。
食べ物と生活
「食べ物を食べないと、人間はなぜ死ぬのか?」と中村天風は問いかけます。
答えは、
「食べ物を食べないと生命の火が消えてしまうから」『いつまでも若々しく生きる』45ページより引用
ん……生命の火が消えるってどういうことなのかしら?
燃えている普通の火じゃなくて、人間が持つ体温の事を言っているんだよ。
燃えている証拠に、「燃えている熱を体に感じるだろ」と中村天風は言います。
食べ物とは命の火を燃やす薪であり、食べ物のよしあしが、かまどである人間の体にどんな影響を与えるかということ。
現代の人達は、自分が美味しいと満足する物ばかり食べ、その食べ物が自分の体に及ぼすよくない影響のことは後回しにしがちです。
そして、かまどである体の調子が悪くなっても食べ物が原因とはあまり考えません。
そこで、生命の火を燃やす薪である食べ物の大事な要素をみていきましょう。
- 水分:人間の三分の一は水で、体をつくっている細胞は水に浸かっている。
- タンパク質:体をつくっている細胞の主体で、細胞の働きにともなう消耗を補う。
- 脂肪:すべての生物は、体温を維持するために酸化作用を行っている=「燃えている」ということ。そのときに体内のタンパク質の分解を防ぐ。
- 炭水化物:タンパク質の分解を防ぐとともに、脂肪の消費量を保護する。
- 灰分(食塩や鉄分):骨をつくる主成分。
食べ方の注意点として二点、ひとつは肉を食べすぎないこと。
タンパク質をとりすぎると消化されるときに生じる尿酸という酸の量が増えます。
酸が体外に出ず血液が酸性化しドロドロになっていまうのです。
そこで食べる割合として、だいたい植物食(野菜や果物)七に対して、肉食は三にしたほうが良いと言います。
年齢にもよりますが歳をとるとともにこの割合に近づけることが理想。
もうひとつは、よく噛んで食べるということです。
よく噛むと「つば」がでます。
このつばだけが、人間の食べ物の中で分量の多いでんぷん質を溶解し、消化してくれます。
しかしよく噛まないで食べると十分に消化することできず、消化器官が弱まり本来人間に備わっている体の作用が弱くなってしまうのです。
病と薬
病とは何なのでしょうか?
病というものは、その種類の何たるを問わず、みな一定の秩序と階級がある。
『いつまでも若々しく生きる』135ページより引用
病の一時押さえの手当ては逆に回復を妨げてしまいます。
病は、体の病毒が、いろんな状態で体の外へ出ようとする、生物に備わった機能です。
薬や注射に頼りすぎると、一時的にはよくなっても、根本的な解決にならない場合もあると言います。以下に病になったとき、できる対処方法をまとめたよ。
- 新鮮な空気を用いる:病のときには体の皮膚から、悪いガスや分泌物が出ています。それを部屋に充満させずに空気を入れ替える。
- 食事に注意する:本当にお腹が減るまでは食べ物を食べず、消化器官を休ませる。
- 水を応用する:水を皮膚にあてると人間の体の中の電磁気勢力(ある温度にそれよりも温度の低いもの急激に触れさせると活発になる作用)が増大し、血液の循環がよくなる。
- 心のもち方:病のときこそ感謝する。病は体を健康にしようと、病毒を外に出そうと働いてくれている証。
- 相手の活力をもらう:活力の強い人と接すると力がもらえる。
- 薬について:薬は無機鉱物からつくられている。肉体を形成しているのは有機鉱物。やたらめったら薬を飲まず、病の性質をみて足らない成分を食べ物の中(有機鉱物を含む野菜や果物)から補う。
- 自然治癒の力:安心すると自然治癒力が働く。
四大を利用する
健康を完全に増進し強さをつくるために、自然界にある四つの大きな天然物を応用することが必要です。ひとつずつ見ていこう。
- 日光:殺菌力が強く、日の光を浴びると体の生活機能が活発になる。
- 空気:血液を浄化する。肉体の外部、内部にも空気を接触する量を多くする。特に呼吸法が重要。
- 土:裸足になって、土を踏む。草木みたいに直接土から栄養素を受けとることはできないけれど、間接的に土の恵みで育った食物性の食べ物を食べるということで土の恩恵を頂いている。
- 水:飲むことと合わせて、皮膚に接触する機会を多くする。新陳代謝を促進する。
二番目の空気を取り入れる呼吸法を、中村天風は詳しく教えてくれています。基本の体勢と深呼吸についてだよ。この呼吸を日中行うことがとても効果的だと言います。
- クンバハカ法:肛門を締め、同時に肩の力を抜き、さらにへその下の丹田に力を入れる。お尻・肩・腹の三か所を同時に整える。
- プラナヤマ法:ヨガの代表的な呼吸法の一つで深呼吸のことです。クンバハカの体勢で、静かに長く深呼吸します。そのときに、息を吐いてから吸うことが大事です。
心身統一法
これまで『いつまでも若々しく生きる』に説かれている健康方法、「心身統一法」を沢山見てきたね。
ほんと盛りだくさんだわ。心についても、体についても具体的な方法が説かれているのね。
本の最終章は、これまで学んだことのまとめ的な内容で、中村天風の伝えたかったことが凝縮されているよ。
心身統一の根本原則は、「生命の生存を確保する」ということ。
そして第二に、「生命の生活を考える」ということである。
『いつまでも若々しく生きる』369ページより引用
心は使うとき必ず精神を統一し、いつでも絶対積極的にして消極的にしない。
体はどんな場合でも、肉体生命の生存条件に背かない。
心身を統一することで、神経系統(息をすること・栄養を吸収すること・老廃物を排泄すること)の機能が完全になる。
明るく生き生きとした気持ちをもって、心と体を鍛える。そして教えを実行し続けることが何より大事なのね。
『いつまでも若々しく生きる』を読んだ感想
『いつまでも若々しく生きる』には人間としてこの自然界で生きていくための、具体的な方法がいくつも詰まっています。
中村天風がその真理を心と体の両面から、簡単な言葉で伝えてくれる本書。
厳しくも温かい言葉の数々は、かつて天風さんが私たちと同じようにもがき苦しみ、試練を乗り越えたからこそ説得力があります。
そして誰よりも教えを実践した中村天風の姿が目に浮かび、自分も頑張ろうと、読むたびに勇気が湧く特別な一冊です。
読むと心の底から元気がもらえる
中村天風の江戸弁で語られる言葉に元気がもらえます。
心にすっと入ってくる言葉にはパワーが溢れていて、読むたびに感動がいっぱいです。
一緒に講演を聞いているよう臨場感が味わえます。
不変の真理が説かれている
時代は違えど、生きていくうえで大切な不変の真理が説かれています。
本当は考えればすぐに大事なことだとわかるのに、見失っていること。
その大事な真理を、まるで天風さんに直接諭されているかのように感じ、思わずはっとします。
生涯かけて実践していきたい座右の書
教えを知っただけでは、何も変わることはありません。
行動することが何より大切です。
言うは易く行うは難しといいますが、誰よりも教えを説く中村天風さん自身が最後の最後まで実践し続けた教えを、私も実践したいという気持ちになります。
『いつまでも若々しく生きる』はどんな人におすすめ?
『いつまでも若々しく生きる』はこのような人におすすめです。
『いつまでも若々しく生きる』は現在、絶版になっています。
ネットではプレミアがつき高額になっていますが、中村天風が説く健康に生きるための方法がぎっしりと詰まっている良書です。
健康に関する本は沢山ありますが、真に健康に生きるための不変の真理が書かれています。
講演をそのまま文字にしているので、中村天風の話し言葉で書かれています。
中村天風が自分に向かって叱咤激励してくれているようで、やる気がでます。
ぜひ、一度手にとり、文章から熱気を感じてみてはいかがでしょう。
ずっと読み続けていく本として、手元においておきたい一冊です。
一見分厚い本書ですが、書かれている言葉は中村天風の会話口調になってます。時折、冗談も交えながら語られ、とても読みやすく心にすっと入ってくるよ。
『いつまでも若々しく生きる』には、人間として生きていくために本当に大切な、心と体の健康法が具体的に書かれています。
きっとあなたにとってかけがえのない一冊となるでしょう。
終わりに|心と体を鍛えて真の健康を手に入れる
中村天風という哲人が、そう遠くはない日本にいたのかと思うと驚かずにはいられません。
病を克服し、自らも悟りを生涯かけて実践し続けた、中村天風の姿には揺るぎのない強さがあります。
コロナ禍で、ますます「健康」に関心が高まっています。
サプリメントを飲むなど簡単な健康方法も沢山ありますが、中村天風の教えは、自然の一部である人間として、本当の意味で健康になる方法、真理が説かれています。
教えを行うことは忍耐が必要で、決して簡単ではありません。
しかし、教えを学び実行し、習慣となるまで実践し続けることこそが「いつまでも若々しく生きる」ことに繋がるのではないでしょうか。
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